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土居中事件

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第 1 審 判 決

プロフェッショナルであるべき裁判長が、以下のような判決を出したという事実は、一言でいえば「悪質」であると言っていいでしょう。

なぜなら、熱田康明裁判長は、証人尋問の証言記録を十分に読み込んでいないからです。またそこから、論理展開を正しくすることができていないからです。

それは、このサイトで、私たち一般市民がやっても、熱意さえあれば、真相を明らかにできることであるにもかかわらずです。

このような、冤罪判決が斯くもたやすく出されてしまうことは、社会正義の歪曲化に弾みをつけてしまうことになります。

石川周治教諭、伊藤貴仁教諭、本宮久忠教諭の『目撃証言』が「迫真性に富み口裏があっているので信用できる」として判決を導いたところには、まったくあいた口がふさがりません。

今後彼らは、味をしめて、気に入らないものがいれば、偽証をしてそのものを落とし込むことを繰り返すようになるでしょう。

 

では、子の判決がいかにお粗末なものであるかを、どうぞご覧ください。

 

平成23420日宣告 裁判所書記官 小笠原徹

平成21年第164

 

判     決

本 籍 

住 居 

職 業 教諭(地方公務員)

河村卓哉

 

上記の者に対する傷害、名誉毀損被告事件について、当裁判所は、検察官柳浦清文及び同池田仁並びに私選弁護人水口晃(主任)、同臼井満及び同常田学各出席の上審理し、次のとおり判決する。

主    文

被告人を懲役4月に処する。

この裁判の確定した日から2年間その刑の執行を猶予する。

訴訟費用は被告人の負担とする。

理    由

(罪となるべき事実)

被告人は、平成194月から平成203月まで愛媛県四国中央市立土居中学校の教諭をし、平成204月からは同市立三島南中学校の教諭をしているものであるが、

第1       平成20116日午後3時ころ、愛媛県四国中央市土居町土居375番地所在の前記土居中学校1階保健室北側廊下において、同校教諭石川周治(当時44歳)に対し、同人の左頬部を右肘で1回肘打ちする暴行を加え、よって、同人に対し、全治3週間を要する左顔面打撲、頚部捻挫の傷害を負わせ、

第2       平成19年度に前記土居中学校で被告人とともに勤務していた同校教頭篠崎良治、同校教諭伊藤貴仁及び同校教諭石川周治の名誉を毀損することを企て、同市の被告人方において、同所に設置されたパーソナルコンピュータを使用し、インターネット上の電子掲示板サイト「megabbs」内にある不特定多数の者が閲覧可能な「☆土居中☆現役&卒業生・・・集まりんしやい!」と題するスレッドに、

1 平成2055日午前75分ころ及び同月6日午前76分ころ「教頭が教育委員会の土居中指導の担当にワイロを送ってる!!」などとそれぞれ記載した文書を送信して上記掲示板に掲示し、

2 同月23日午後732分ころ、「その後の教務主任への昇格を狙っているのは、今年度研修主任に身を隠して虎視眈々と構えている伊藤貴仁研修主任である。彼は、昨年度の悪名高き3年学年主任で、篠崎良治教頭の指令の下、あるうつ病教諭を再発させ土居中から追いやった人物である。」などと記載した文書を送信して上記掲示板に掲示し、

3 同日午後741分ころ、「土居中は、教師の不倫の現場となっていることは、知る者すでに言っているとおりである。元3年学年主任の伊藤貴仁は、いい子と付き合っている(肉体関係があるかどうかは不明)と、学校で生徒がいる時間に楽しそうに、篠崎良治教頭に明かし、それをうらやましがる教頭以上にうらやましがったのは、独身の石川周二生徒指導主事であった。」などと記載した文書を送信して上記掲示板に掲示し、もって、公然と内容虚偽の事実を摘示し、前記篠崎、前記伊藤及び前記石川の名誉を穀損したものである。

(証拠の標目)

※ かっこ内の甲乙の番号は、証拠等関係カードにおける検察官請求証拠の番号

を示す。

判示事実全部について

被告人の当公判廷における供述

証人石川周治の当公判廷における供述

証人伊藤貴仁の当公判廷における供述

証人篠崎良治の当公判廷における供述

証人高橋恭敬の当公判廷における供述

判示第1の事実について

被告人の検察官(乙5、乙6)及び司法警察員(乙2から乙4まで)に対する各供述調書

証人安藤正明の当公判廷における供述

証人本宮久忠の当公判廷における供述

医師安藤正明作成の診断書(甲7

医師安藤正明作成の回答書(甲8

医師安藤正明作成の「紹介状(診療情報提供書)」と題する書面(写し)(甲51

検察事務官作成の写真撮影報告書(甲6

司法警察員作成の写真撮影報告書(甲14〔ただし、不同意部分を除く。〕)

検察官作成の捜査報告書(甲43

検察事務官作成の各捜査報告書(甲50、甲54

司法警察員作成の各捜査報告書(甲4、甲58

司法警察員作成の任意提出書(甲1

検察事務官作成の任意提出書(甲55

司法警察員作成の領置調書(甲2

検察官作成の領置調書(甲56

Maxell製DVD−R(プラスチックケース入りのもの)1枚に保存された「080116周二貴仁と廊下で」と題する音声データ(平成22年押2号の1)(甲3

CD−R(maxell製、金色、700MB、248] SPEED、プラスチックケース入りのもの)1枚(平成22年押2号の2)(甲57

判示第21から第23までの各事実について

被告人の検察官(乙11)及び司法警察員(乙7から乙10まで)に対する各供述調書

篠崎良治の検察官(甲31)及び司法警察員(甲30)に対する各供述調書(ただし、いずれも不同意部分を除く。)

司法警察員作成の各写真撮影報告書(甲20、甲28

司法警察員作成の各捜査関係事項照会書(謄本)(甲21、甲23

さくらインターネット株式会社Abuse対策チーム担当北岡秀章作成の「捜査関係事項照会書についてのご回答」と題する書面(甲22

Megabbs管理人干葉征弘作成の「捜査関係事項照会書の回答」と題する書面(甲24

司法警察員作成の各捜査報告書(甲25から甲27まで)

判示第22及び第23の各事実について

伊藤貴仁の司法警察員に対する供述調書(甲34〔ただし、不同意部分を除

く。〕)

判示第23の事実について

石川周治の検察官(甲38)及び司法警察員(甲37)に対する各供述調書(た

だし、いずれも不同意部分を除く。)

(事実認定の補足説明)

被告人は、判示第2に係る各名誉毀損については認めているものの、判示第1

係る傷害については、石川周治教諭(以下「石川教諭」という。)に対して肘打ちはしておらず、傷害を与えていないから無罪である旨主張し、弁護人もそれに沿う主張をすることから、検討する(以下、時期については、断りのない限り平成20年を指し、判示第1に係る傷害については「本件傷害事件」、同第1の場所を「本件事件現場」、同第2に係る各名誉毀損については「本件名誉毀損事件」という。)。

1 証拠上容易に認められる事実

1 被告人の経歴について

被告人は、東京都内の私立大学を卒業後、昭和584月から中学校教諭として勤務していたが、平成17年度にうつ病に羅患して休職した後、平成194月から平成203月までの問、愛媛県四国中央市土居町土居375番地所在の四国中央市立土居中学校(以下「土居中学校」という。)に勤務し、3年生の数学(10組中の5組分の各授業)を担当していた。なお、被告人は、住所地で妻及び子供2名と居住している。

被告人の身長は1745センチメートル、体重は77キログラム、右利きである。

2 平成19年度における土居中学校における教職員について

平成19年度(平成1941日から平成20331日までの期間をいう。以下同じ。)に土居中学校で勤務していた主要な教員及びその担当職務等は、次のとおりであった。

1)学校長    村上正哲(以下「村上校長」という。)

2)教 頭    篠崎良治(以下「篠崎教頭」という。)

3)教 諭

ア 教務主任           高橋恭敬(3年生の数学担当)(以下「高橋教諭」という。)

イ 学年主任(3年生) 伊藤貴仁(技術家庭科担当)(以下「伊藤教諭」という。)

ウ 生徒指導主事    石川教諭(2年生の国語担当)

エ 人権同和教育主任  本宮久忠(3年生の数学担当)(以下「本宮教諭」という。)

オ その他の教諭

() 村上るみ子(社会科担当)

() 合田大(保健体育担当)

() 近藤寛

4)養護教諭           星田眞喜子(以下「星田教諭」という。)

3 本件事件現場について

土居中学校の正面玄関から西に向かって廊下があり、南側(左側)に事務室、職員室、更衣室、保健室が、北側(右側)に印刷室、女子トイレ・男子トイレ及び相談室がそれぞれ設けられている。職員室には、廊下に面して東側、西側にそれぞれ出入口が設けられている。保健室の廊下を挟んだやや北西側に相談室がある。

4 116日の経緯

1)被告人は、116日午後、土居中学校1階の保健室にいた際に、3年生の男子生徒から翌日転校する旨の話を聞いた。

なお、同日、同校では、各クラスの終わりの会が終了した後の午後3時から、各クラスで合唱コンクールの練習をすることが予定されていた。

2)同日、伊藤教諭は、保健室で休んでいた男子生徒に対して、クラスに戻って合唱の練習に参加させようと声をかけるつもりで保健室に入ったが、被告人と口論になった。その後、被告人は、保健室に入ってきた石川教諭とも口論となり、3名とも保健室前の廊下に出た。

3)高橋教諭は、四国中央署に電話し、指令を受けた同署の井原正浩巡査部長(以下「井原巡査部長」という。)及び豊岡駐在所勤務の徳永明裕巡査(以下「徳永巡査」といい、井原巡査部長と併せて「井原巡査部長ら」という。)がパトロールカーで土居中学校に臨場した。

5 石川教諭の治療状況

1116日の治療経過

ア 石川教諭は、本件傷害事件の後、同日中に四国中央市内にあるあんどう整形外科を訪れた。同外科は、初診であったところ、石川教諭は、問診票の「1.本日はどうされましたか」との問に対して、「トラブルで左あごに相手方のひじがぶつかった」と記載した。

イ 診断内容

安藤正明医師(以下「安藤医師」という。)は、石川教諭を診察したが、「左頬部にごく軽度の腫脹」、すなわち、左右差があり、左頬にごく少しの腫れがあることを認め、また、首の伸展は制限がないが、左の頸部に引っかかり感があると認め、左顔面打撲及び頸部捻挫と診断し、顔面は冷署法(水枕等により冷やす処方)による旨伝えた。なお、レントゲン撮影はしておらず、再来院の指示はしなかった。

ウ 診断書(116日付け)の記載内容

そして、安藤医師は、石川教諭の依頼を受けて同日付け診断書(甲84丁)を作成した。上記診断書には、病名として「左顔面打撲および頸部捻挫」、内容として「上記傷病にて、向後5日間の加療および経過観察を要する見込みです。尚、経過により前記とは限りません。」と記載されている。

2121日の治療経過

安藤医師は、121日、あんどう整形外科に来院した石川教諭を診察し、首の伸展に制限はあるが疼痛はない、右頸部に圧痛があり筋緊張がやや亢進している、左頬部に圧痛が軽度ある、首についてレントゲン撮影をしたところ椎間板C5とC6に狭小化が認められ頸部の症状はこの椎間板の狭小化又は関節症によることが考えられる、小指のしびれは脊髄の障害であれば考えられないことはない旨診断し、石川教諭に対して脳外科を受診の上でMRI検査を受けることを勧めた。

3123日の治療経過

ア 紹介状の記載内容

安藤医師は、122日付けで、愛媛県立三島病院脳神経外科の医師宛に紹介状(甲51)を作成した。同紹介状には、「主訴又は病名、症状」として「頸部捻挫 左顔面(頬部)打撲」、「現病歴、検査結果、治療経過、処方等」として「116日にトラブルがあり肘打ちを左顔面に受けたとのことです。頸部の引っかかり感と頭痛(就寝後は軽快しているようです)がありましたが、レ線上、C56の椎間板の矯小化のみで、神経学的に著変は認めません。」との記載がされている。

イ 愛媛県立三島病院での診断内容

石川教諭は、123日にあんどう整形外科を訪れ、上記アの紹介状を受領し(なお、同外科では、特に診察はしていない。)、同日、愛媛県立三島病院脳神経外科に行き、受診した。

その後、同外科の担当医師から安藤医師宛に同日付け院外返答状が送付されたが、同返答状には、診断の項に「顔面打撲、くも膜のう胞」と記載され、また、「経過要約」の項には、要旨、石川教諭にMRI検査を実施したが、頭部内に外傷による著名な異常亢進はなかった、くも膜のう胞があるがのう胞内に出血はないなどと記載されている。

425日の治療経過

石川教諭は、25日、あんどう整形外科に来院した。安藤医師が同教諭を診断したところ、同教諭が頸部の症状はよくなった旨述べたことのほか、頸部の右の筋緊張がやや亢進しているが、可動域に制限がないことから、頸部捻挫は治癒したものと診断した。

5)診断書(522日付け)の記載内容

安藤医師が522日付けで作成した診断書(甲7)には病名として「左顔面打撲および頸部捻挫」、内容として「平成20116日より、25日まで通院、経過観察したことを認めます。(116日から全治3週間であった)なお、外来受診日は、116日、21日、23日および25日です。」との記載がされている。もっとも、上記のうちかっこ書の記載は、66日に付記した。

6 各音声データの差押えの手続

1)被告人方への捜索差押え

愛媛県四国中央警察署の警察官は、1020日、被告人に対する本件名誉毀損事件(捜査時においては名誉毀損及び侮辱被疑事件)につき、被告人方への捜索差押えの手続をとり、被告人方にあったパソコン及び外付けハードディスク等を差し押さえた。

2)「080116 周二貴仁と廊下で」との表題の音声データについて

ア 被告人は、上記事件の取調べの過程において、被告人から石川教諭とのやりとりについて、被告人が持っていたボイスレコーダーに録音されており、その録音データが上記(1)により差し押さえられたハードディスクに保存している旨申し立てた。

イ そこで、愛媛県警察本部生活安全部生活環境課サイバー犯罪対策室で上記ハードディスク等を解析したところ、「0801161月事件」との表題のファイルが確認されたため、同室職員により同ファイルのデータをDVD−Rにコピーの上で、同署員が1124日に上記DVD−Rを領置した。同ファイルには「080116 周二貴仁と廊下で」との表題の音声データ(以下「本件現場録音」という。)が確認されたため、同署員において反訳の上、別紙1「音声データ『080116 周二貴仁と廊下で』に録音された内容』と題する書面を作成した。

なお、本件現場録音の録音時間は、321秒である。

3)「080116 帰宅し」との表題の音声データについて

ア また、上記(1)の捜索差押えを経て上記ハードディスク等のデータをDVD−Rにコピーして保存したもののうち、「080109−」との表題のファイルの中から「080116 帰宅し」との表題の音声データ(以下「本件自宅録音」という。)が確認されたため、同署員において、その一部を反訳の上、別紙2「フォルダ 080109−」と題する書面を作成した。

イ なお、本件自宅録音は、116日の夜、被告人方における被告人と妻との会話などが録音されたものであり(録音時間は2時間5838秒)、開始後1時間3750秒から1時間4735秒まで、1時間5155秒から2時間0306秒までは被告人とその妻との会話が収録されている。

2 本件傷害事件の発生及びその前後の事実経過に関する各証人の供述内容の要旨及びその信用性等について

1 前提となるべき事項

1)各証人の供述内容の検討について

本件傷害事件について取り調べた各証人のうち判示第1の日時に本件傷害事件現場にいた者で、@被告人から判示第1の暴行を受け、又はこれを目撃したと供述する者は、石川教諭、伊藤教諭及び本宮教諭であり、他方で、Aこれを積極的に否定する趣旨の供述をする者は星田教諭であり、Bその余の証人(村上校長、篠崎教頭、村上教諭及び合田教諭)は単に目撃していない趣旨の供述をするものである(もっとも、いずれの供述も積極的に上記暴行の存在を否定するなど上記@の石川教諭らの供述と矛盾する内容のものではない。)。そこで以下、@の石川教諭らの供述及びAの星田教諭の各供述の各信用性を検討し、その過程で必要な限りでBの篠崎教諭らの各供述等についても検討することとする。

2)本件現場録音について

ア ところで、本件事件現場における状況については、前記第16のとおり、本件傷害事件当時における本件事件現場の状況を録音した音声データがあり、検察官、弁護人からそれぞれ反訳書が書証(甲4、弁1)として取調べ請求され、いずれも同意され、証拠として採用された。

しかるに、検察官は、上記音声データについて、上記(1)@の石川教諭らの各証人の供述に照らせば、被告人に不利益な部分について削除編集がされている旨主張する(もっとも、削除編集がされていない部分については、当時の客観的状況をそのまま記録した証拠であり、その限りにおいて信用性は認められる趣旨の主張もしているところである。)。

イ 当裁判所は、本件現場録音の作成過程につき、後記の被告人の供述に照らして不自然な点が窺われ、一部の録音部分が削除等された可能性は否めないものの、本件現場録音に収録されている音声それ自体は、被告人にとって不利益な発言部分も含まれていることなどから、被告人により意図的に編集されたものではないものと判断した。よって、各証人の供述の信用性については、本件現場録音の内容に照らして検討することとする。

2 証人石川周治の供述要旨及びその信用性について

1)証人石川周治の供述要旨

ア 116日午後3時前ころ、保健室に生徒がいないかどうか確認するため、伊藤教諭に少し遅れて保健室に入っていった。保健室には、3年生の男子生徒と、保護者、星田教諭がいた。

被告人は、伊藤教諭に出て行けと言っており、私に対しても出て行けと言ってきて、手で胸を突かれてよろけた。

イ 3人が保健室前の廊下に出た後も、被告人が伊藤教諭に向かって怒鳴っていたので、何とかこの騒ぎを収めなければならないと思い、被告人の方に顔が向くようにして二人の間に割って入った。私は、両手を斜め下に広げてハの字型にした格好で割って入りながら、被告人に、相談室に入って落ち着いて話そうやと言った。

被告人は、私と向き合った状態で、「当たるな。」といいながら、私に胸から当たってくるような素振りをした。私が当たっていないと言うと、被告人は、「当たっただろうが、触るな。」といい、正面に向かい合った状態でこのようなやりとりが続いた。

披告人の右肩が少し下がったと思ったときに、私の左頬に激しい衝撃をった。

そのときは、被告人から拳で殴られたと思ったが、後にそばにいた先生から肘で殴られたと聞いた。なお、後に、更衣室に行った際に、伊藤教諭から肘で殴られたと聞かされた。

このときに受けた衝撃は、単に肘が当たったという程度のものではなく、殴られた以外に激しい衝撃を受けた原因は考えられず、殴られた直後は、その衝撃で意識がぼうっとしていた。

このときの私と正対していた被告人の距離は、殴られたときのことを再現してみたところ、胸と胸との間隔は約50センチメートルであった。

私が殴られたときに、周りにいたと覚えているのは伊藤教諭、本宮教諭、近藤寛教諭、星田教諭であるが、その位置は覚えていない。

ウ 私が殴られた後、「殴ったろ。」という本宮教諭の声が聞こえた。しばらく衝撃でぼうっとしており、言い合いは続けていたが、殴られたというふうに意識がはっきりしたので、被告人に「殴ったでしょう。」と言うと、被告人は、「わしは覚えてない。」、「おなかで押すからじや。」、「その大きい体で来るきん、怖いんじや。」などと言った。

被告人はその後も怒鳴り続けるので、らちが明かないと思い、職員室に入ると、被告人が付いて来るので、本宮教諭が止めに入ったところ、被告人と本宮教諭との言い争いが始まった。そこで、私は、職員室の玄関側の出入り口から廊下に出たが、被告人は本宮教諭との言い争いに続いて伊藤教諭との言い争いとなった。

私は、これを止めようと思う一方でまた殴られてはいけないと思い、被告人に背を向ける形で被告人と伊藤教諭の間に入った。

その後、誰かに呼ばれて、職員室から更衣室へ入ったら篠崎教頭がおり、その後、伊藤教諭も更衣室に入ってきた。伊藤教諭からは私が肘で殴られた旨言われた。

被告人が大声で叫んでいた時間は、10分から15分である。

その後、呼ばれて校長室に行くと、村上校長と篠崎教頭のほか、警察官2名もいた。警察官には左頬を殴られたと言った。被害届を出すかと聞かれたが、同僚なので今のところは被害届を出すつもりはないと答えた。

エ 殴られた左頬が赤く腫れたので、土居町のあんどう整形外科に行った。

問診票には、肘が当たったというように書いたが、これは、直前に警察官には被害届を出さないと言ったこともあり、大きな問題にしてはいけないと思ったからである。

安藤医師に対しては、けがをした原因及び症状について「殴られて、左ほほが腫れている。そして首が痛い。」と述べた。

安藤医師からは、右頬に比して左頬が腫れている旨、口の中は切れていない旨、処方として湿布をしなさいと告げられた。篠崎教頭からも診断書を取るように言われていたところ、同医師からは、左顔面打撲と頸椎捻挫、加療期間は5日との診断書を作成してもらった。そして、同医師から、5日経って治らなければ再来院するように言われた。

当日の夜、湿布をしたが、首と左頬が痛み、翌日は頭が痛くなって首が回らなくなり、5日経っても首に痛みが残っていたので、あんどう整形外科で診察を受け、加えて、愛媛県立三島病院でも脳の検査を受けたが、異常なしと診断された。

3週間後にあんどう整形外科で診断を受け、再度、診断書をもらった。なお、左目も充血して圧迫感を感じていたことから、眼科にも通った。

オ 検察庁で本件現場録音を聞いたが、騒ぎの時間がかなり短い。また、私が「殴ったでしょう」、「おまえの体が大きいからと言うのは、生まれつきなんです」ということも言ったが、本件現場録音には含まれていない。具体的には、甲4の反訳部分のうち、「今、殴ったろ」という言葉が出るまでにずいぶん時間が経っているはずであり、言い合いが続いていたはずである。また、その後の「これかなり効いたよ」との発言前までに「殴ったでしょう」と述べているはずである。その他にも、被告人と本宮教諭とのやりとりが一部抜けているところがある。

カ 私は、学生時代、アメリカンフットボールをしていたことがあり、本件傷害事件時における身長は174センチメートル、体重は100キログラム、ウエストは100センチメートルであった。

2)供述の信用性について

ア 石川教諭の供述は、具体的かつ迫真性に富み、弁護人による反対尋問においても、記憶のあることとないことを明確に分けて供述しており、保健室に入室して以降、被告人と同教諭とのトラブルを経て本宮教諭、伊藤教諭とも口論になったこと、そして、警察官からの事情聴取など一連の事実経過についての供述内容につき、不合理な点又は不自然な点も特段、見受けられない。なお、石川教諭は、被告人から肘打ちされた瞬間は見ていない旨、激しい痛みを感じて首が右にねじれ、顔が右下を向き、目の前が真っ白になった旨供述し、身構えて防御姿勢をとるようなことはしていなかったところ、これは、石川教諭が被告人に対してとっていた体勢(両手を斜めに下げてハの字の形とする姿勢)からすればそのような結果になったとしても不自然とまでは言えず、また、石川教諭自身も被告人から暴行を受けるとは想定していなかったものであるから、上記のように供述することはかえって自然であるといえる。

イ その上で、本件現場録音の内容に照らしても、石川教諭による上記事実経過についての供述内容と矛盾するところは、特に見受けられない。かえって、本件現場録音の内容に照らせば、以下の点を指摘することができる。すなわち、@被告人は、終始大声を出しており、その状況からも興奮していることが容易に看取されるところ、これに対して石川教諭は、特に声を荒げることもなく、被告人に対して相談室に行くよう話し、体を当ててくるなという趣旨の被告人の発言に対しても淡々と否定するなど冷静に対応している態度が窺われるところ、これは、石川教諭の上記供述内容と整合するといえる。また、A本宮教諭による「今、殴ったろ。」、石川教諭による「これかなり効いたよ。」、「いや、ちょっと一発やられたなあ、これ。」との各発言については、いずれも本件現場録音に収録されていることに加え、石川教諭の「これかなり効いたよ。」との発言が被告人からの暴行を受けてから、すなわち、本宮教諭による「今、殴ったろ。」の発言からしばらく時間が経過した後にされたことの理由とも整合している。

ウ なお、前記認定事実及び関係証拠(甲43、甲61、甲62、証人安藤正明、証人井原正浩)によれば、@石川教諭は、116日の本件傷害事件後に訪れたあんどう整形外科において、問診票に「トラブルで左あごに相手方のひじがぶつかった」と記載したこと、A石川教諭を診断した安藤医師が同日の診療録に「本日、午後310315ごろにトラブルがあり、左顔面に相手方の肘が当たった」と記載したこと、B同日、通報を受けて土居中学校に臨場した井原巡査部長及び徳永巡査が事情聴取の上で同日作成した「現場臨場報告書」には、当初「事案の措置」として「事件性なし」の欄にチェックがされ、「事案概要」に「生徒指導の教員である被害者が被疑者から『俺の身体に触るな。』等と言われながら顔部にヒジによる打撲を受けた」と記載されていることが認められる。

しかしながら、石川教諭は、事情聴取に当たった井原巡査部長らに対し、被告人が同僚であることから被害届を出さない旨述べたところ、これを受けて井原巡査部長から被害届を出さないのであれば学校の中で処理してくれという趣旨の話をされた旨供述しており、実際にこの段階では被害届を出し、又は警察に対して改めて被害申告する等の措置を講じていないこと、また、上記問診票に上記のような記載をしたことについても、先ほど警察官に対して被害届を出さない旨を述べたことより、問題になってはいけないと考えたからと供述しているところ、これら理由として供述するところは了解することができ、また、これを前提とすれば、徳永巡査が作成した上記「現場臨場報告書」に肘打ちの点が明記されていないとしても不自然とまでは言えない。

エ そして、前記第1に認定のとおり、石川教諭は、本件傷害事件の発生したその日にあんどう整形外科で診療を受け、その後、愛媛県立三島病院でも治療を受けたところ、これらの病院における診断及び治療経過と被告人から受けたとする暴行及び傷害の内容とは整合している(なお、石川教諭は、左頬に激しい衝撃を受けたと供述しているところ、121日に安藤医師により右頸部に圧痛があると診断されているが、石川教諭は、被告人の暴行により首が右にねじれ、顔が右下に向いたとも述していることに照らせば矛盾するものではない。)。

オ なお、弁護人は、石川教諭が供述する被告人の暴行態様からすれば、このような軽度な傷害にとどまらない旨主張し、確かに、116日の段階では筋緊張の亢進は明確には認められず、加療期間5日と診断されたものではあるが、他方で、安藤医師は、その後も石川教諭から診療を求めて来院した際には、同教諭を診察し、(頬部打撲の点は措くとしても、)触診するなどした上で筋緊張の亢進を確認しており、その結果として頸部捻挫につき全治3週間と診断した旨供述していることからすれば、特に不合理であるとか不自然であるとは言えない。

3)以上によれば、証人石川周治の供述は、信用することができる。

2 証人伊藤貴仁の供述とその信用性について

1)証人伊藤貴仁の供述要旨

ア 116日午後3時ころ、保健室に3年生の生徒がいるのが分かり、合唱コンクールの練習があるから、参加するかどうか声を掛けに行った。

私が保健室に入っていくと、星田教諭と女性の保護者がおり、星田教諭に口パクで生徒の名前を言ったところ、星田教諭はベッドの方を指さし、案内してくれた。

星田教諭がベッドのカーテンを開けたところ、被告人と当該生徒がおり、当該生徒に「合唱練習があるけん、行かん」と声を掛けると、そこにいた被告人が「行けんのじや。」と言った。被告人は、かなり興奮していて、既にもう怒っている状態で、大声で保健室を出て行けみたいなことを言った。被告人は、保健室の戸口で、保健室に入ってきた石川教諭に対し、「お前もじや。」と言って突き飛ばした。

イ 3人が保健室前の廊下に出ると、被告人が石川教諭に対して「寄るな、触るな。」と言って大声で叫んでいた。

石川教諭は、廊下で被告人と向かい合わせになり、両者の距離は50センチメートルぐらいであった。私は、被告人の左側、石川教諭の右側に立っていた。石川教諭は、左右の手をそれぞれ斜めに下げてハの字の状態で立ち、被告人に「保護者がいるので、相談室に行きましょう」などと言っていた。

被告人は、首を上下、身体は前後、手を動かして、石川教諭に「寄るな、触るな。」、「今、触っただろうが」などと言っていた。石川教諭が被告人の身体を押したり、触ったりしていたことはないと思うが、被告人が動いていたので、当たったかもしれない。

被告人の右肘が肩上まで上がり、その肘を右斜め上から左斜め下に振り下ろすように動かして、石川教諭の左の頬を肘打ちで殴り、石川教諭の顔が右下の方にぶれた。拳や平手ではなかったのは、至近距離で肘打ちの方が殴りやすかったからだと思う。

被告人が石川教諭を殴ったときに、横から「今、殴ったろう。」という声が聞こえたので、振り返ったら本宮教諭がいた。なお、本宮教諭以外には近藤寛教諭がいたが、それ以外に周りで誰がいたかは覚えていない。

石川教諭が被告人に対して「これ効いたよ。」と言ったところ、被告人は、「そんなこと知らんよ。」、「大きな体で迫ってきたら、怖いんじや。だから、やったんじや。」みたいなことを言った。また、石川教諭は、「大きくてごめんね。」みたいなことも言った。

その後、石川教諭は、職員室に入って行ったが、被告人がその後をついて行き、職員室の入り口辺りまで来て何か叫びながら戸口にある掲示板を叩いていた。そして、被告人は、廊下で振り返って本宮教諭に対して「関わるな。」とか「あんたまでが。」というような言葉を興奮しながら叫んでいた。

その後、被告人は、私に「お前が悪いんじや。」などと言ったので、私が「僕は何も言ってないでしょう。」と答えると、「何も言わないから、おまえが悪いんじや。」、「おまえが黙ってるから殴ったんじや。」と言った。

その後、被告人と言い合いが続いたが、本宮教諭や近藤寛教諭が止めに入り、石川教諭に職員室の中に入れられ、騒ぎが終わった。

なお、この事件の後、石川教諭から首が痛い、気分が悪いと言っていたのを聞いたことがある。

被告人が大声で叫んでいた時間は10分ちょっとであると思う。というのは、この騒ぎが終わったときに、午後315分に終わるはずの合唱練習が行われていたからである。

ウ この事件の後、村上校長か篠崎教頭から、教育委員会に提出するからということで、この事件の内容について書面で提出した。甲32に添付された資料2「河村卓哉教諭の指導について」と題する文書それ自体は見たことはないが、その中の「4 石川教諭に対する暴力行為について」の項に記載された文章は私が書き、村上校長又は篠崎教頭に提出したものである。

エ 本件現場録音を聞いたが、実際の騒ぎの内容と異なる部分があり、最初の被告人と石川教諭のやりとりの中で、甲4の反訳部分の3頁の上から1行の「こっち押してきたらな、怖かろうがや」の辺りで被告人が「怖いで、やったんじや」みたいなことを言っていたこと、私の「何も言うてないやないか」との発言の後に「おまえのせいで殴ったんじや。」、「だから、おまえが黙っとるけん、おまえが悪い。」といった件が抜けている。

2)供述の信用性について

ア 上記供述は、具体的かつ迫真性に富み、弁護人による反対尋問においても、記憶のあることとないことを明確に分けて供述しており、保健室における被告人とのやりとり、保健室を出た後の被告人と石川教諭、そして、被告人が石川教諭に肘打ちしたのは伊藤教諭のせいである旨の発言をしたことを契機としてされた同教諭自身とのやりとりを含めた事実経過についての供述内容につき、不合理な点又は不自然な点も特段、見受けられない。

イ ところで、弁護人は、石川教諭は、被告人と対峠した際にまっすぐ立っていたと供述する以上、被告人が同程度の身長である石川教諭に肘打ちすることはできないと主張する。

確かに、石川教諭の身長は174センチメートル、被告人の身長は1745センチメートルであることからすれば、お互いが直立している状態で被告人が肘を振り下ろす形で石川教諭に肘打ちすることは困難であると考えられるが、伊藤教諭は、当公判廷における当時の状況の再現において、石川教諭がやや前傾姿勢になっていたと指示しており、これを前提とされた被告人役による肘打ちも可能であったこと(第6回公判調書に係る証人伊藤貴仁の証人尋問調書添付の別紙1から同6まで)、また、伊藤教諭は、被告人の左側、石川教諭の右側の直近に立っていたと供述するところ、客観的に被告人、石川教諭の体勢等を目視することができたことになるから、そのことと照らし合わせても特に矛盾するとは言えない。

ウ また、伊藤教諭は、村上校長又は篠崎教頭の指示を受けて本件傷害事件の経過について文書にまとめて提出した旨、甲32に添付された「河村卓哉教諭の指導について」と題する書面の「4 石川教諭に対する暴力行為について」の項に記載されているのがこれに当たる旨供述するところ、この項に記載されている事実経過は、上記供述とおおむね一致し、本件現場録音の内容ともおおむね一致しているところである(なお、証人篠崎良治は、本件傷害事件の23日後に伊藤教諭からデータで提出を受け、村上校長に提出した旨供述し、証人村上正哲は、篠崎教頭から紙で受け取ったが、伊藤教諭の起案した部分について直したのは誤字脱字ぐらいである旨供述しているところ、両証人が作成過程等について虚偽の供述をする動機もないことからすれば、これを前提とすれば、この記載部分は、本件傷害事件発生後遅滞なく作成されたことになる。)。

3)以上からすれば、証人伊藤貴仁の供述は、信用することができる。

4 証人本宮久忠の供述及びその信用性について

1)証人本宮久忠の供述要旨

ア 保健室にいる生徒に一緒に合唱の練習をさせてやった方がいいのではないかと考え、職員室から保健室に行こうとしたときに、保健室の方から大きな怒鳴り声が聞こえてきた。そこで、急いで職員室の西側の出口を出て保健室の方へ行くと、保健室の前の廊下で、被告人が石川教諭に詰め寄るようにして何かおらんでいた。私から見て、左手に被告人、右手に石川教諭がいた。

被告人と石川教諭が向き合うように立っていて、被告人が非常に興奮した様子で、押すなとか、当たるなという内容の言葉を言っていた。これに対し、石川教諭は、当たってないだろうというようなことを言っており、非常に落ち着いて、なだめるような感じであった。

石川教諭は、被告人に対し、左右の手を斜めに差し出す形で、ハの字の状態で平手を前に向けて立った状態であり、これに対して被告人は、上半身を前後に揺らしており、被告人の身体が石川教諭に当たっていた。

石川教諭は落ち着いてくださいという形で同じ姿勢を保っていたところ、被告人の方から石川教諭に当たるようにしているのに、なぜ押すななどというのか不思議に思った。

イ 被告人がいろいろな方向に動いていくので、石川教諭がそれに対して一緒に動き、「押すな。」、「押していないでしょう。」というやりとりが続いたが、一瞬静かになったと思うと、石川教諭の身体越しに被告人の右手の肘が上に上がるのが見えたと思ったら、それを振り下ろし、その肘が石川教諭の左顎付近に当たり、石川教諭の顎が右にひねられるようになった。

このとき、私は、石川教諭の左斜め後ろの辺りに立っていた。最初は、拳で殴ったのかなと、一瞬思ったが、距離的なものや状況を考えたときに、肘で殴ったというのがはっきりと分かった。被告人が石川教諭を殴ったのを見てびっくりし、これはいかんと思い、「先生、今殴ったやろ」というような発言をした。これは、なぜ被告人が殴ったのかという気持ちと、止めなければならないという気持ちもあったので強めに言った。このとき、振り向いたら高橋教諭がいたので、拳を握って顔面のほうに向けて、殴られたということを伝えた。

しばらくして、石川教諭が「先生、さっきの効いたよ。」みたいなことを言ったところ、被告人は、「知らん、知らん、わしや覚えていない。」みたいなことを言った。

その後、被告人が「お前みたいな大きなのんがおったら怖いんじや。」と言うようなことを言い、これに対して石川教諭が「大きくてごめんね。」みたいなことを言い、やりとりがしばらく続いた。

石川教諭は、らちが明かないという感じで職員室の方へ帰っていき、被告人が追いかけるように職員室の入り口まで行って、入り口のところで怒鳴って壁をパンパン手で叩き、私にも「おまえもじや、おまえもわしにかかわるな。」というようなことを言ってきた。

被告人が伊藤教諭に「おまえが悪いんじや」と言い、伊藤教諭が「なんでわしが悪いんぞ、わしは何も言うてなかろが」と言うと、被告人が「おまえが何も言わんけん、わしや殴ったんじや」と言った。それで、伊藤教諭がすごく激高して、怒鳴り合いが始まり、その場にいた何人かで止め、伊藤教諭を職員室に連れ込んだ。

ウ 本件現場録音を聞いたが、私が「今、殴ったろ」と言うまでの間にもう少し長い、石川教諭とのやりとりがあったはずであるが、その時間が非常に短くなっていることなどやりとりが抜けているところがあり、「何も言うてないけん、殴ったんだ。」という声も抜けている。

2)供述の信用性について

ア 上記供述は、具体的かつ迫真性に富み、弁護人による反対尋問においても、記憶のあることとないことを明確に分けて供述しており、怒鳴り声を聞いて職員室から廊下に出た経緯、被告人と石川教諭とのやりとり、そして被告人と本宮教諭及び伊藤教諭とのやりとりを含めた事実経過について、特に不自然、不合理な点は見受けられず、証人石川周治、同伊藤貴仁の各供述とも符合する。

そして、上記供述は、本件現場録音に記録された状況とも整合しており、殊に、「今、殴ったろ。」と発言したとの供述は、本件現場録音からも明らかである。

イ また、被告人が石川教諭を肘で殴った後、振り返った際に高橋教諭に対して示したジェスチャーの点は、証人高橋恭敬も同様の供述をしているところ、このことからすれば、本宮教諭が被告人による石川教諭への暴行を目撃し、ありのままの姿を表現したものといえる。

3)以上によれば、証人本宮久忠の供述は、信用することができる。

5 証人星田眞喜子の供述及びその信用性について

1)証人星田眞喜子の供述要旨

ア 私は、被告人が体調を悪くしていることを知っていたので、保健室を利用するように声を何度か掛けたことがあったが、被告人は、迷惑を掛けるからと言って利用しなかった。

実際に篠崎教頭が保健室に来て、被告人が保健室に来るかどうか、来た場合には知らせて欲しい旨、生徒にはなるべく会わせないようにして欲しい旨言われたことがあった。その理由を尋ねたところ、篠崎教頭は、被告人のようにうつ病の先生が学級担任をすることには生徒にも悪い影響があり、そのような先生に教えてもらうことを親が知ったときには親もいやがるだろうから、せっかくいい学校にしてきたのに元のようになってしまうのが嫌だからと答えた。また、村上校長からも、被告人は8時間は働かない、病気の先生は持たないから辞めないといけなくなる旨聞かされたこともあった。

多分、被告人は、学校から追い出したいという一人ではないかなと思う。

学年団の先生から、学年朝会で伊藤教諭が被告人に辞めてもらいたい人は挙手して、ということをしたとのことであった。

イ 被告人が保健室に休みに来て3年生の男子生徒と一緒になり、二人がベッドの隅で話をしていた。

最初に男子生徒を呼びに来たのが村上教諭で、次に伊藤教諭が来て、「練習行くぞ。」、「行かないかまいや。」、「なんでここにおんぞ。」などと言って男子生徒を連れて行こうとした。男子生徒が「嫌じや。嫌じや。」と言い、被告人が「もう出ろや、ここは保健室だから、星田教諭に迷惑をかけることになるから出ろや。」などと大声で言った。それに対して、伊藤教諭は、「関係なかろがな、行かせないかまいよ。」などとおらび返した。

その後、石川教諭が保健室に入ってきて、「話をしようや、話をしたら分かる、話ししようや。」みたいな言葉を言ったと思うが、よく覚えていない。そして、3人とも保健室の前の廊下に出ていった。保健室には、上記男子生徒、女子生徒の保護者がいたので、私は、外に出ないように言い残して廊下に出た。そのとき、廊下には、村上校長、石川教諭、村上教諭、本宮教諭、伊藤教諭及び近藤寛教諭が見えた。

石川教諭と被告人は、お腹がくっつくくらいの距離で向き合っており、石川教諭は玄関を背に、被告人は玄関の方に向いた位置に立っていた。石川教諭は、「相談室に行こうや行こうや。」、「相談室に入ろうや、入ろうや。」などと言い、被告人は「押すな、押すな、危ないや。」などと言った。石川教諭は、左右の肩を交互に前に出すようにしていたため、被告人に当たったときもあり、被告人を押しているように見えた。

被告人は、23歩又は34歩後ろに下がっており、後ろへ引っ繰り返ったら頭を打つと思うぐらい押されていた。

石川教諭の肩か胸が被告人に当たるので、被告人は、両手の肘を曲げて、手を自然に半分握るような形で、両手を顔の辺りに挙げてこれを左右に振った。

その後、石川教諭が「今殴ったろ。」と言うのが聞こえ、高橋教諭が「警察じや。」と言うのが聞こえた。

私は、被告人の肘が石川教諭に当たるところは見ていないが、被告人が手を挙げていたから、その挙げていた手が頬とか顔に当たったのではないかな、と思う。被告人が何回も手を振っていたから、今当たったのではないかな、と思う箇所はあった。

保健室前での言い合いは収まり、他の教諭は玄関の方へ行き、被告人も職員室の方へ向かった。私は、相談室の先にあるベンチで校長に事情説明をした。その後、被告人と伊藤教諭の言い争うような声は聞いていない。

ウ 私は、平成21113日付けで、愛媛県、四国中央市、村上校長、村上校長の後任の土居中学校長であった須山三陽、高橋教諭及び近藤寛教諭に対して損害賠償を求める訴えを提起した。その内容としては、本件傷害事件以後、私が土居中学校の幹部から嫌がらせを受けたことを理由として慰謝料100万円の支払を求めるものである。上記訴えに係る訴訟において、検察庁で取調べを受けた際に聞いた本件現場録音が収録されたテープを証拠として裁判所に提出しているが、このテープは、被告人ではなくクロカワさんという人からもらった。

2)供述の信用性について

ア 上記供述に照らせば、星田教諭は、公訴事実第2の被害者とされる篠崎教頭はもとより、村上校長など本件傷害事件当時における土居中学校の主要な役職に就いていた者を被告として民事訴訟を提起しており、その供述する上記訴訟の内容に照らしても、本件刑事事件の帰趨が当該民事訴訟にも重要な影響を及ぼすことが見込まれ、その意味において重要な利害関係を有していること、殊に、前帯第1で認定した事実に照らせば、星田教諭が本来、入手することが困難であるはずの本件現場録音を入手の上で、上記民事訴訟において証拠として提出しているのであるから、被告人又は被告人の関係者からその入手に当たって相応の協力を得たことも容易に推認される以上、その供述の信用性については慎重な検討が必要となる。

イ 上記アを踏まえつつ、星田教諭の上記供述について検討するに、以下の点を指摘することができる。

まず、本件傷害事件の事実経過についてであるが、本件現場録音と対照するに、保健室でのやりとりについてはいずれもさほど異ならないが、被告人と石川教諭とのやりとりが終わった後は騒ぎが終了したと供述する部分は、本件現場録音、すなわち、被告人と伊藤教諭との大声で口論がされた状況とおよそ整合しないことに加え、また、捜査段階においては、当初、被告人の肘が石川教諭に当たったことがある旨の供述をし、その後、肘が当たったのは見ていない旨変更し、更に殴ったのは見ていないが肘が当たったのは見た旨変更したことが窺われるところ、かように供述が変遷し、また、当公判廷において肘が当たるところは見ていないと供述したことについて合理的な説明をしていない(捜査段階において、肘打ちの有無については取調官も相応の注意を払って事情聴取がされたものと推認されるが、取調べの都度、供述が変遷するのは不合理である。)。

3)以上によれば、証人星田眞喜子の供述は、直ちに信用することはできない。

3 被告人の供述及びその信用性について

1 前提となるべき事項

前記第161)及び(3)のとおり、本件傷害事件が発生した116日の被告人方における被告人及びその妻との会話が録音されており、その録音内容については検察官、弁護人からいずれもその作成に係る反訳書が証拠請求されて(甲58、弁9)、いずれも同意の上で証拠採用されたものである(なお、いずれも信用性は争われていない。)。よって、以下、被告人の供述の信用性につき、本件自宅録音の内容とも照らしながら検討する。

2 被告人の供述要旨

1)被告人は、本件傷害事件については、捜査段階から被告人の左肘が石川教諭の右顔面又は首に当たったことは認めているものの、全治3週間を要する傷害を負わせたことはないとして否認しており、その供述内容は、当公判廷における供述とおおむね同趣旨であるところ、これらの供述要旨は、次のとおりである。

2116日、私が保健室で休んでいると、1学期に担当していたある3年生の男子生徒が保健室に入ってきて、土居中学校を転校する旨を述べた。被告人が転校の理由を問いただすと、篠崎教頭、伊藤教諭、高橋教諭、本宮教諭にいじめられている旨、授業には行けなくなっているのに授業に行けと無理に連れて行かれそうになるから土居中学校にはこれ以上いられない旨述べた。

3)私は、そこで、上記男子生徒の話を聞き続けていたが、清掃が終わり、午後3時の終わりの会が終わってしばらくしたときに、伊藤教諭が保健室に入ってきた。

私は、上記男子生徒が連れ出されるのを止めようと思い、伊藤教諭に対して、「とにかく出え。」と大声を出して、伊藤教諭とその後に来た石川教諭も廊下の外に出した。

私が廊下で大声を上げているからか、石川教諭が私を相談室へでも行こうということで、お腹と胸の体全体で私を相談室の方へ押していった。私も抵抗したと思うが、石川教諭の力が強いので後ろへ後ろへ押されていった。その際に、「当たるなや、やめや」みたいなことは言った。もっとも、私は、両手で押し返すようなことはしなかった。それは、生徒が荒れている学校で、生徒がどれほど荒れていても手を出して触ったら体罰になってしまうという認識があったので、このときもお互い手は出さないという共通認識があったと思う。

4)石川教諭に相談室の壁まで押され、後ろがないので、両手で壁を作るイメージで、それで払って右に避けようと考え、両手を顔の前方に挙げて、両手で壁を作るようにして、両手を左肩右に払ったときに、左肘の内側が石川教諭の顎、頬又は首のいずれかに1回当たった。

石川教諭の押してくる動きが止まり、「これどうしてくれる」みたいな感じの話になった。右の頬に当たったと思うが、なぜか石川教諭は、反対側を指さしていた。なお、石川教諭は、痛みを訴えるような表情などはしなかった。

5)私は、約20年前に芦原会館で空手を3年ほどやっていたことがあり、その際に茶帯を取得した。茶帯は、黒帯の一階級下である。

6)私は、先輩の先生から自分の授業を録音してそれを聞くとよいと教えられて、ボイスレコーダーを使って全部の授業を録音するようにしており、土居中学校に赴任した平成194月から実行していた。録音されたデータを自宅のパソコンに取り込んで保存するようにしていたが、保存するのは私か友人のいずれかである。妻は、保存のためにパソコンに触れることはない。

116日もボイスレコーダーを持っており、午前中の授業からスイッチを入れていた。授業が終わった後、いったん、スイッチを切ったが、何らかの誤りでスイッチが入っており、石川教諭とのやりとりが録音された。本件傷害事件の後、車に乗ったときにスイッチは切ったが、また、スイッチを入れた。そのままにしていたため、帰宅後の妻との会話なども録音された。この会話の録音が本件自宅録音である。

本件現場録音及び本件自宅録音について表題を付してパソコンで保存したのはおそらく私だと思う。

7)本件自宅録音において、「当たったんやないよ、当てたんよ。」と妻に述べているところがあるが、これは、土居中学校に赴任してからつらい目に遭っており、更に警察まで呼ばれてしまい本当に惨めな気持ちであったことから、妻に対しては強がりを言わないとやっていられなかったという感じから述べたのである。

2 供述の信用性について

1)上記供述について検討するに、以下の点を指摘することができる。

ア 本件現場録音に照らせば、被告人は、伊藤教諭が保健室に入室して間もなくして大声で同教諭を廊下の外に出るように言っており、これに対して、同教諭は、当初は、大声を出さず、「何を言よんでえ」と返答しているものであるところ、上記男子生徒とのやりとりについての被告人の供述を前提としても、伊藤教諭に対して大声を出す必要はおよそなく、場所を変えて教諭同士で話し合えば足り(その後に保健室に入ってきた石川教諭に対しても同様である。)、しかるに、被告人は、そのような手段を講じることなく大声を出し続けたものであるから、その一因としてかねてからの伊藤教諭に対する悪感情があったことが窺われること

イ 本宮教諭からの「今、殴ったろ」、石川教諭の「これかなり効いたよ」、「いやちょっと一発やられたなあ」との発言に対して、「殴っていない。」などと明確に否定するような言葉は述べておらず、かえって「知らんよ。」、「でかい身体でこっち押してきたらな、怖かろうがや」などと石川教諭に責任があるかのような趣旨の発言をしていること

ウ 石川教諭が被告人に対してとった対応についても、本件現場録音からしても石川教諭の声はさほど大きいものではなく、また、被告人を相談室へ連れて行こうとするものであって、被告人に対して殴る等の暴力的な行為に出るようなものでもなかったこと(このことは、被告人自身も認めている。)

また、被告人がいた廊下上で、被告人が石川教諭から離れるのを妨げるような障害も見受けられないこと

その一方で、被告人が石川教諭に対してとったとする対応振りは、両手で壁を作って左から右に払うというものであるところ、被告人の供述を前提とすれば、肩や胸で被告人の身体に当たってくる石川教諭に対して効果的な方法とは言い難いこと

2)また、本件自宅録音の内容をみるに、被告人は、「肘が多分、顔に当たった。」、「当たったんやないよ、当てたんよ。」、「外に対しては、僕が当てたんよ、言わんかったら分からまい。」、「肘打ちは見えんのよ。距離にして分からんのよ。こっちも即な思いっきりするあれではないし。手加減しとるし。」などと述べているが、これらの会話は、もとより誰かに強制されたものではなく、その内容及び双方の語調に照らしても通常の会話をしているものと認められる。

なお、被告人は、この会話は真意ではなく、被告人の強がりによるものであると供述し、被告人の妻である証人河村まゆみも被告人の本件自宅録音における発言は真意ではなく、同証人の発言も半分冗談みたいなものである旨供述するが、上記会話の内容、時間及び語調からはそのような事情は窺われないし、夫婦間の会話において殊更に虚偽の発言をする必要も認められない。

3)以上からすれば、被告人の供述は、被告人の石川教諭に対してとった対応の内容等に照らして不自然であり、また、証人石川、同伊藤及び同本宮の各供述とも齢酷する一方で、本件自宅録音の内容とはまったく相反する上、その点について合理的な理由もないことからすれば、信用することはできない。

4 結論

以上によれば、被告人の判示第1の犯行は、優に認めることができる。

(法令の適用)

罰        条

判示第1の所為          刑法204

判示第21から第23までの各所為

いずれも刑法2301

刑 種 の 選 択             判示第1の罪について懲役刑を選択

判示第21から第23までの各罪の刑について懲役刑を選択

併 合 罪 の 処 理               刑法45条前段の併合罪であるから、同法47条本文、10条により最も重い判示第1の罪の刑に法定の加重

執 行 猶 予                       刑法251

訴訟費用の負担                    刑事訴訟法1811項本文

(量刑の理由)

1 本件は、中学校教諭として勤務する被告人が勤務先の同僚1名に対して暴行の上で傷害を与え(判示第1)、更に勤務先の教頭及び同僚2名の名誉を毀損した(判示第21から第23まで)という事案である。

2 判示各犯行について

1)判示第1の傷害について

ア 被告人は、かつて担当したことがある男子生徒への対応をめぐって同僚と口論となり、これを止めに入った被害者(石川教諭)に対して肘打ちをして判示第1の傷害を負わせたものであるが、もとより被害者に落ち度はなく、犯行態様も肘打ちという危険な方法によるものであり、犯情悪質である。被害者は、これにより全治3週間の傷害を負ったものであり、被害結果は小さくない。なお、被告人は、被害者に対して医療費を含めた損害賠償をしておらず、被害感情も厳しいものがある。

イ ところで、弁護人は、本件傷害事件の発端及び背景には、本件傷害事件当日保健室にいた男子生徒に対する伊藤教諭をはじめとする土居中学校の関わり方、指導方針に問題がある旨主張し、被告人も被告人質問においてこれに沿う供述をする。しかしながら、中学校という教育の現場で、生徒が在校している時間帯に、しかも、上記男子生徒の目前で、同校の教諭である被告人が大声を上げて、同僚教諭らを保健室から追い出すなどした挙げ句に、無抵抗の被害者に対し、いきなり判示第1のとおりの暴力に及び傷害を負わせたものであって、教育者の取るべき行為として常軌を逸しているというほかない。上記男子生徒に対する土居中学校の関わり方、教育方針の是非については、教育の現場で、話し合い、議論を重ねて、検討し、是正すべき点があるなら是正していくべきものであって、仮に土居中学校の関わり方等に問題があったと想定した場合でも、被告人の取った行動は到底許されるものではなく、被告人が教育者として生徒を指導していかなければならない立場にあることを考えれば、暴力行為に出た被告人の刑事責任は重い。

2)判示第2の各名誉毀損について

ア 被告人は、インターネット上の電子掲示板のスレッドに自己の主張を投稿していたところ、被告人を誹讃する内容の投稿がされるようになり、これは判示第2の被害者らによるものと邪推するなどして被害者らの名誉を毀損する内容の投稿をして不特定多数の者の閲覧に供したものであり、その身勝手極まりない動機におよそ酌むべき点はない。

イ 被害者らは、いずれも前年度、被告人が勤務した中学校の上司又は同僚の教員であるところ、これらの投稿がされたことにより、生徒やその保護者に不信感を抱かれたのではないかという不安感など相当の精神的苦痛を被り、更には精神的な疾病を患うに至った者もいること、そして、保護者や地域住民の中にはこれらの投稿から被害者らや中学校に対して不信感などを抱いた者もいると推察され、学校運営上も相応の支障を来したことも同様に推察されるところであり、被害結果は重大である。

しかるに、被告人は、被害者らに対して具体的な慰謝の措置を講じておらず、被害者らの被害感情は峻烈であるが、これは当然のことと言わなければならない。

ウ ところで、被告人は、村上校長をはじめとして、判示第2の被害者である篠崎教頭など土居中学校の枢要な職にある者が被告人の病状を十分に考慮せず、かえっていわれない差別やパワーハラスメントを受けたなどと供述し、確かに同校において関連法令等に基づき常に適切な対応をとったかどうかについては必ずしも明らかではない面があるが、同校においても被告人を校務分掌から外すなどその負担軽減に努めていたことは認められる。いずれにせよ、被告人による本件各犯行の刑事責任を軽減させるものではないことは明らかである。

3          被告人は、地方公務員であり、本件各犯行時、約25年もの経験を有する中学校の教諭であるから、法令を遵守することはもとより、教育者として同僚と協力して生徒を教育して導くべき立場にあるにもかかわらず、判示第1の犯行を敢行した後に、更に判示第2の各犯行に及んでいるのであって、その責任は重大であり、被告人の刑事責任は重い。

4          他方で、被告人は、判示第2の各犯行については捜査段階から認めて反省の弁を述べていること、被告人には前科がないこと、本判決により被告人に対して地方公務員法等に基づき厳しい措置が講じられることが見込まれることなど被告人にとって酌むべき事情は認められるが、これらを十分に勘案しても、罰金刑に処しただけでは軽きに失するというほかない。

5          そこで、これらの事情を総合考慮の上で、主文の通り刑を量定した。

(求刑―懲役1年6月)

  平成23420

    松山地方裁判所西条支部

 

 裁判長裁判官  熱田康明

    裁判官  寺岡洋和

    裁判官日野直子は、転補のため署名押印することができない。

裁判長裁判官  熱田康明

 


 

 

 

 

 

 


これは謄本である。

 

 

 

 

平成23512

松山地方裁判所西条支部

裁判所書記官 小笠原 徹

 

 

 

 

11

 
 

 

 

 


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